先日の、マグロとイカのフキ味噌和えの記事に書いた通り、フキノトウは刻むと黒ずんできてしまうんですよね。
先に茹でてから刻めば変色しないと思っていたんだけど、何回作っても茹でる段階で部分的に茶色くなるんですよね。
「フライパンに油を引いて、刻む端からどんどん炒めていけば変色しない」とちょっと名のあるサイトに書かれていたので、前回はそのやり方にしてみたけど、やっぱりかなり茶色くなってしまいました。
うーん、どうしたら以前たまたまできたような色鮮やかなフキ味噌ができるんだろう??
そんな中、コメント欄で「むらさきいも」さんが「フキノトウが黒ずむのは切り口が酸化するから」と教えてくれました。
なるほど、酸化を防げば良いのか。そういうことなら、切ったリンゴを塩水に浸けると茶色くならないという理論と同じでいいんじゃないの?
緑鮮やかなフキ味噌の作り方
検証する必要があるいくつかの仮説
- 開いたフキノトウに比べ、つぼみ状のものの方が変色しやすい?
- 外側の傷ついた葉が変色しやすい?
- 塩を入れて茹でると変色しない?
- 重曹を入れて茹でると変色しない?
- 高温で一気に茹でると変色しない?
- 刻んですぐに塩水に浸けると変色しない?
- 刻んですぐに油で炒めると変色しない?
とにかく、実験してみよう。
うちの辺りではフキノトウの時期ももう終盤ですが、山の方に行けばまだまだ採れます。
うちより北ではまだこれから採れる地域もあるでしょう。
ある程度採ってきました。
外側の枯れた葉を取り除き、きれいに洗います。
この段階では根元の切り口のみが黒くなっていて、他はきれいな緑色。
確かに、刃が入った部分のみが酸化するんだと思う。
実験その1
ボウルに水リットルと塩小さじ1を入れてよく溶かし塩水を作っておきます。
フキノトウを粗みじん切りにして、すぐに塩水に投入していきます。
ほんとは写真なんか撮っている場合ではない(笑)
2個分をみじん切りにして塩水に投入してみました。
そのまましばらくおいても確かに変色してきません。根元の切り始めの方が一部茶色くはなりましたが。
ザルに上げて水を切ります。切ったリンゴと同じですぐには茶色くなりません。
変色しないうちにフライパンに油を引いて炒めてみます。
炒めても色は変わりません!
この方法でおよそ良さそうですが、刻んでから慌てて塩水に浸けなきゃいけないし、それでも少し茶色くなります。そして、刻んだフキノトウはザルの隙間から抜け落ちたり扱いがやや面倒なところが難点。
実験その2
開いたフキノトウと、つぼみ状態のフキノトウ。
つぼみ状態と言っても、本当の花のつぼみは開いたフキノトウの中にたくさんありますが。
これを水1リットルに対して小さじ1の塩を入れて沸かした中に投入して、色の変化を見ます。
沸騰したお湯の中に、フキノトウを投入。
そのままグラグラと1分ほど茹でます。今のところどちらも変色してきません。
2分茹でてみましたが、全く変色しませんでした。
2分茹でるとお湯がだいぶ緑色になりますね。ちょっと茹ですぎ。
ざくざく刻んでも、全く変色しません!
本当は軽く水を絞ってから刻むべきだったけど(^_^;)
実験その3
包丁で外側の葉に傷をつけて茹でてみます。
塩を入れて沸かし始めたお湯の温度が60℃くらいの状態でフキノトウを投入。
30秒くらいで茶色くなってきちゃいました。そうそう、いつもこんな感じで部分的に茶色になっちゃうんですよ。茶色くなったものはいくら茹でても、もう手遅れ(T_T)
だけど、包丁で傷つけたところは特に茶色くはなっていません。やはり温度が重要なんだ。
もちろん冷水にとってみても茶色いまま。
同じ場所で採ったフキノトウが茹で方でこうも違う姿になってしまうとは。
塩を入れても、中度半端な温度で茹でると茶色くなることがわかりました。
実験その4
塩の時と同じように水1リットルに対して重曹小さじ1を入れ、完全に沸騰させてからお湯の温度が下がらない量のフキノトウを投入。
なんだか泡がもの凄く出てきたけど、大丈夫? 茶色くはなってきてないみたいだけど。
塩の時と同じように2分茹でたら、なんとフキノトウが溶けたようになって崩壊(>_<)
水気を絞って刻んでみると、色は良いけどフキノトウがくたっとしてしまいました。
もっと時間を短くすればいいかもしれないけど、重曹より塩の方が良さそう。
ネット検索したらとあるサイトに「水1リットルに重曹小さじ1を加えて沸かしてフキノトウを5分~10分茹で、冷水にさらすと鮮やかな緑色が保てる」と書いてあったけど、重曹入れて5分も茹でたら、フキノトウが完全にとろけちゃうよ。これはダメ!
ネット上には、自分で試しもせずにどこかから引っ張ってきた情報をつぎはぎにして載せただけっていうのが結構ありますね。鵜呑みにするとエライ目に遭っちゃう。
実験その5
塩も重曹も入れないとどうなのか。沸騰したお湯の温度を保って茹でればもしかしたらお湯だけでも茶色くならないのかも。
塩も重曹も入れずに1分茹でて、すぐに冷水にとります。
写真ではわかりにくいですが、塩を入れたものに比べると部分的に少し茶色に変色しました。黄色矢印の辺りは結構茶色くなっています。
水だけの割には想像よりも緑色を保てていますが、上記の塩を入れて茹でた写真と比べて見てもらうとわかる通り、少し色褪せてますね。
ここまで実験して、上記6つの仮説に対する答えがわかりました。
6つの仮説に対する解答
- 開いたフキノトウに比べ、つぼみ状のものの方が変色しやすい?
→フキノトウの成長度合いで変色しやすさが変わるわけではない。ただし、火が通りにくい場合があるので、縦二つ切ってから茹でた方が良い。 - 外側の傷ついた葉が変色しやすい?
→傷ついた時点でその部分が酸化してやや茶色くはなるけど、加熱でその部分が特別茶色になるということはない。 - 塩を入れて茹でると変色しない?
→塩を入れて沸騰状態を保ったまま茹でて冷水にとれば変色を防げるが、沸騰していない状態でフキノトウを入れると茶色くなる。 - 重曹を入れて茹でると変色しない?
→塩と同様変色は防げるが、フキノトウが溶けたようになって崩れてしまうのでNG。 - 高温で一気に茹でると変色しない?
→お湯だけでも沸騰状態を保ったまま茹でればある程度変色は防げるが、塩を入れた場合に比べると全体に色褪せる。 - 刻んですぐに塩水に浸けると変色しない?
→刻んですぐに塩水に浸けると確かに変色は防げる。ただどうしても若干のタイムラグがあるので、完全に防ぐのは困難。 - 刻んですぐに油で炒めると変色しない?
→刻んですぐに炒め始めても、かなり茶色くなってしまう(先日のフキ味噌作りで実証済み)。
緑鮮やかなフキ味噌を作るには・・・
以上を踏まえて、色鮮やかなフキ味噌を作るために最適なフキノトウの下ごしらえの方法は、
水1リットルに塩小さじ1を入れて沸騰させ、お湯の温度が下がらない量のフキノトウを入れて30〜40秒茹でたらすぐに冷水にとる。
(後日追記:フキノトウへの火の通りをよくするために、まずフキノトウを半分に切ってしばらく塩水に浸けておいた方が良いです)
ということになります。
あとは刻んでも再加熱しても大丈夫です。
この方法で下ごしらえしたフキノトウを使ってフキ味噌を作ってみます。
色鮮やかなフキ味噌の作り方
【フキ味噌材料】
- ふきのとう…10〜15個
- 味噌…100g
- 砂糖…大さじ1
- みりん…大さじ2
- サラダ油(またはゴマ油)…大さじ1
(1)味噌100g、砂糖大さじ1、みりん大さじ2を混ぜて合わせ味噌を作る。
(2)ボウルに塩水を作っておき、そこに半分に切ったフキノトウをしばらく浸けておく。
(3)水1リットルに対し小さじ1の塩を入れて、鍋にお湯を沸かす。
(4)お湯の温度が下がらないように、フキノトウを二度に分けて茹でる。
(5)30〜40秒茹でたら、すぐに冷水に採って冷やす。
(6)フキノトウをみじん切りにする。
(7)フライパンにサラダ油を引き、下茹でして刻んだフキノトウを炒めます。
(8)合わせ味噌を入れて、混ぜ炒めます
フキノトウの鮮やかな緑色が生きているフキ味噌が完成しました!
フキノトウが茶色くなったフキ味噌と味は変わりませんが、料理は見た目も重要ですよね。
見るからにうまそうなフキ味噌ですねー。と自画自賛(笑)
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